KUDANZ
「血の轍(わだち)」
2016.11.2 Release

人間の一生。
生まれ、恋をし、親となり、老いていく。
KUDANZが描く人の一生とは。

東北に原点回帰して、2枚目のアルバムとなる「血の轍(わだち)」。
この世に生を受け、思春期の葛藤や恋愛を経て、社会の中で様々な思想や感情を抱きながら怒り戦う⻘年期。
大事な人に出会い、結婚して気づく家族の大切さ。そして、親になる。
初めて命の尊さを知り、両親に感謝の気持ちを憶える。時には、人を笑わせ、驚かせ、悲しませ
そして年老いて死んでゆく一人の人間の一生をKUDANZ ササキゲンが装飾を外し
「歌」という芸術で表現した作品。

今作はKUDANZの基盤である、フォークミュージックや弾き語りをベースに、
ロック、シャンソン、ポップスと多様な音楽性と世界観が凝縮された作品となっている。
また共同プロデューサーとして、次松大助(THE MICETEETH)を迎え、
彼の美しく且つ即興性のあるピアノがKUDANZの音楽に多様性をもたらしている。
悩み迷い続けながら唄い続けた、シンガーソングライターササキゲンが、
KUDANZとして新しい境地へ辿り着いた末の作品と言えよう。

Message from his friends

With a crystalline voice and a half-century of orchestral pop at his command,
Kudanz creates sounds that are as warm, as welcoming,
and as familiar as French pastries – and every bit as sweet.

Alex Lukashevsky


His melodies and his way of singing them are as melismatic as they are smooth,
swaying as clothes do hung outside to dry in the warm breeze.
I want to say that there is a kind of intelligence to the way he sings

Eric Chenaux


優しい、美しい言葉で包まれると思いきや急に刃のような言葉で切り裂かれる。寄り添ってくれるかと思いきや、いきなりスコーンと引き離され、「お前はお前でよかったな」と玄さんが演奏中に見せる睨み顔が急に思い浮かぶ。KUDANZを偉そうに語れる器ではありませんが、喜怒哀楽という感情が全て入っている本当に素晴らしい作品です。「どんな方法で世界を知ろうと、明と暗の両面があるという事実は変わらない」というゲーテの個人的に好きな言葉の通り、その両面どちらも描かれていて、言葉の使い手としては非常に羨ましく、尊敬しかできません。言葉だけではなく、アレンジや曲の順番、ひとつひとつの音や言葉の重みが皆さんにも届いて欲しいです。

素晴らしい作品への敬意を持って。

Ryu (Ryu Matsuyama)


『血の轍』

渋谷に用事があり、途中の下北に最近できた、長い長い登りエスカレーターに乗っていました。
その時イヤホンからはKUDANZの新しい音楽が流れていて、
僕はなんの気はなしに、すぐ横を、下方へとどんどん降ってゆく人々をずっと見ていました。
すると急に、すれ違ってゆく様々な人々の姿が、急に厚みを帯びて、立体的にな輪郭を帯び始めた。
そして、「この人たち一人一人の中に、その人だけの物語が宿り、うねり渦巻き、流れているのだな」
と唐突に思ったんです。言葉で、というより感じた、というか。
見慣れた場所だし、これまでも何人もの人々とこの駅のエスカレーターですれ違ってきたわけで、
多分いつもは何も思ってないんだろうと思います。
僕が感知することのできる世界は、時として、というか多くの場合、とても狭く平たい。
でもその時はとても、広く高く鮮やかに立ち上ったのでした。

さて。
もしこの作品と10代の頃に出会ってたら。
今よりも不安定な感性でしか聞き取れない音が聞こえてたかもしれない。
あるいはもしかしたら大部分を理解できなかったかもしれない。
もっと歳をとって50代とかになったらどうなんだろう?
かつてより、今なんかよりいろんなことが
聞こえてくるような予感がする。
あるいはかつて聞こえていた帯域は、聞こえなくなるのだろうか。

いつまでも手元に置いて、時を経るたびに、プレイヤーで再生するたびに、
聞く者は自分の時間が確かに刻まれていることを感じさせてくれる作品なんじゃないか。と思います。
稀な作品。と、30歳後半の僕はそう聞きました。
今後も末永く聞いて触れて、触れるたびに何か思う。

駅に着き、渋谷に着きました。
ふと上を見たら、玄くんのギターのあの不思議な残響がビルとビルの合間を満たして、
空を浄化するかのように美しい声が浮かんでいました。突き刺すような風もどこかで吹いてるんでしょう。

追伸:あえて明記しないですけど、作中、何度もハッとさせられる言葉に鉢合わせます。
玄くんの歌を聴いてると毎度のことです。
あ、あの曲、アレには笑わされました。しっかしあんたなんでもできるのね。

Ryo Hamamoto


僕は1本のフィルムを観ていた。
フィルターのかからない、生き方のドキュメント。
厭らしさも汚らしさも、だからこそ愛しさもそこには在った。
肌触り。生活に音楽が纏うとこんなにも美しくて儚い。
だから僕は生活に色を塗りたくなる。

小田和奏


音符のような、台詞のような
言葉のような、心のような

声が

ギターのノイズ
アンビエンス
呼吸のようなブレス
人の気配が

誇張することなく
隠蔽することなく

生活に変わっていきます。

sumika
片岡健太


アルバム『血の轍』によせて

その声が聴こえてくると、私は泣き出しそうになって堪らなくなる。
それは何ゆえなのだろうと『血の轍』を何度も、時間をかけてじっくりと聴き重ねていった。
様々な場面で、どの曲にも、
浮かんでくる夕暮れに一人で泣いている少年の幻影。
それが堪らなくて、抱きしめてあげたくなる。でもこの手は少年に届かなくて切なくて涙が出そうになるからだとわかった。
よりその部分が、『血の轍』では強く現れていると感じる。
感情を直に収録するように、
歌うことに決意と覚悟を込めた挑戦。
それがこのアルバムを価値あるものにしている。
感情がメロディになって生命の血の轍となっていった。
大傑作!!!

5年1組 佐々木龍大


人の一生は荷物を負うて遠き道を行くがごとしと説いたのは徳川家康だが、轍に溜まった血液をバシャバシャとはね上がらせ真っ赤になって歩くこのアルバムの主人公の一生は、なかなかに往生際が悪い。

科学は無力だと言い放ち、この世には罠ばかりだと神を責め、さらには棒切れを貸すくらいわけのない事だとうそぶく。

はたまた、素敵なあの子に触れる勇気が欲しいと憂い、心が踊る様な毎日を君にあげたいと優しく語りかけたりもする。

最後には、朧げな夢の中で今を一番大事にしてねと言い残し、死の塔の上で誰かを待つ。

胸がぎゅっと締めつけられるドラマの数々が紡がれていく様は、激動とも達観とも違い、ある種体裁などお構いなしの瞬間的に脳裏に湧いたリアルな感情だ。
だからこそ時に狂気を伴い、時に夕凪のように穏やかである。誰もが心の奥底に持っているであろうもの。

揺れ動く心のように歌声、曲調、サウンドも変幻自在。まるで血管に潜り込み身体を駆け巡るウイルスのように、聴く者にダメージを与える。
人は何のために生まれてきて、何のために生きて、そして死んでいくのか?といった類のダメージをだ。

そしてアルバムを聴き進めるうちに気付く。もしかするとそこには特別な意味などなくて、自分に嫌気が差したり傷ついたり、あらゆることにもがきながらただ人を愛し慈しみ「今」を受け入れてゆくことが尊いのかもしれないと。

KUDANZのニューアルバム「血の轍」は極上のポップミュージックでありつつ、自分を投影させたり客観視したりしながら主人公と共に一生を旅するドキュメンタリー映画のようでもある。しかも際どい芸術性もまとっているから始末に負えない。

かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう、という早川義夫のアルバムタイトルが昔あったが、血の轍の中の主人公は逆で、あまりに赤裸々でともすればかっこ悪いと映ることもあるだろうに、ここまで剥き出しにされるとむしろかっこいいと思えるから不思議だ。
それは研ぎすまされた鋭利なナイフがキラリと光り輝くのにも似て。

物語を終え、彼の魂はいずこへ?
もしや静かなオーシャンでのんびり釣りでもしているだろうか。

佐藤ヒロユキ(エンジニア)


歌の主人公さんへ
あなたは今日まで色んな悲しみや優しさを見つめて生きてきて、これからも生きていくのですね。
ヒリヒリするような温もりの中で、遠くの方に見える、柔らかい微かな光に、あなたの歌に助けられ、心から救われました。
色々な出来事を、その心で、その身体で感じてきたから、肌寒い季節の朝の花びらに煌めく大粒の露のような、あなたの気持ちにとって、科学は本当に無力だなと思いました。
素敵な歌をありがとう。

田中茉裕


「たった一つの歌」
ぼくらはたくさんの歌を作るけど、あれもこれもを追いかけている訳じゃない。
どちらかというと、たった一つの歌を追いかけているうちに増えていくのだと思う。
ぼくにはぼくの、ゲンくんにはゲンくんのたった一つの歌がある。
「血の轍」に収められているすべての歌は、そんなゲンくんのたった一つの歌だ。
たった一つの歌が十二曲。その全部がゲンくんのたった一つの歌だということがうれしい。
たった一つの歌を求めて歌い続けるゲンくんのこれからの旅を見守ろう。

友部正人


朧げないつかの景色、これから体験する未来の記憶、誰かの残した記憶の轍をなぞる旅。
1曲ごと、1フレーズごとに浮かぶイメージの断片や、言葉のかけらや、きっといつも回りにあった、けれど気づけなかったたくさんの景色にいざなってくれる音像に驚き、少し怯み、また筆をとる。盤は回り続ける。

画家 中川和寿


玄ちゃんのミズタマノタニマチになってはや半年。。。。
写真展の弾き語りやアラバキ弾き語り、北海道ツアー『北の国へ 16’夏』という
濃密な半年が過ぎて、季節は変わり、やっと完成した『血の轍』
富良野に行く途中で車内で聴いたデモ音源の時点からもはや
『ミズタマノタニマチ的2016年心の第一位』は『血の轍』でした。
発売前なのにもう100回は確実に聴いている程の大傑作。
『人の一生を描く』という壮大なコンセプトを一枚にまとめたまるで映画を観ている様な
感覚に陥ります。そしてあなたの日常にそっと寄り添う事だと思います。

SOUND SHOOTER橋本塁


その人は、私のようで
その人は、誰かのようで
みんなでもあり
誰でもない
優しくて だらしない 寂しげなところが
よく似ている
鏡を覗き込んで
己と対峙するような
そんな痛みとやすらぎに溢れた
愛すべき作品です
幼い頃に見た太陽のように
あなたの人生にいつまでも離れずについてくるよ

長谷川健一(ミュージシャン)


玄さんの音楽は美しいメロディーの中にグサッと刺さる言葉があって、不思議。
そして優しく辛辣。
頭の中に浮かぶイメージも、日本だったり外国だったり、都市でもあり森の中でもある。
朝も昼も夜も似合うアルバム。
みんなに聴いて欲しいし、生のライブも凄いから行ってみてね。

GLIM SPANKY 松尾レミ